君子 仲合、同盟会話
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仲合会話
朦朧たる夢
無剣:何があったの?機嫌が悪いのか?
君子:僕に話しかけないでください、今は一人でいたいんだ。
もう行ってください。
君ちゃんの拒絶の言葉を聞いたら、何故かわからないが、胸が痛くなってきた。
無剣:辛いことがあったら私に言ってみて。口にすれば、少しは気持ちが晴れるかも…
その返答はなかった。
目の前の背中がとても寂しく見えた。
この人が持っていた自信は完全に打ち砕けてしまったようだ。
何と言って慰めてよいか分からない。もしかしたら、彼が言うとおり、一人にしておいた方がいいのかもしれない。
無剣:じゃあ、私は先に帰るね。君ちゃんも、早く帰ってきてね。
そう言って、その場を離れようとしたが、なぜだか足が動かない。
このまま離れてはいけない。
行ってしまえば、
彼は二度と立ち直れないかもしれない。
私は振り返り、自分の身なりを直して、君ちゃんの隣に腰を下ろす。
彼の体は一瞬強ばったが、私のほうを見たりはしない。
彼の目は遥か彼方まで延々と伸びる山々に向けられたままだ。
何を言えばいいのか、それとも何も言わずにいたほうがいいのか。
実は私がこの子を一人で座らせておけないだけなのだ。
西に沈みゆく太陽の光を浴びているうちに、自分の気持ちを問い続けた意識が段々とぼんやりしていく。
このまま寝てしまおう、少しまどろむだけ…
目が覚めると、君ちゃんの肩に頭を載せていることに気付いた。驚いて、私は跳ね起きた。
無剣:あ! ごめん!私…重かったでしょう?
君子:ああ、僕の肩はすっかり痺れてしまった…
無剣:ほんとにごめん!少しだけ側にいたいと思っただけだったのに… いつの間に…
君子:一緒にいると言っていたけど、それは隣で寝ることだったんだね。
無剣:本当にごめんなさい…あれ、君の気分は少し晴れた?
君子:バカが隣にいたのだから、晴れるわけがないじゃない?
無剣:他人をバカバカって言うもんじゃないわ。
バカと思っても、その人の目の前で言っちゃダメよ!
君子:僕、帰るね。やっぱり、お姉ちゃん以外の人はみんな同じなんだ…
君ちゃんは急に立ち上がり、振り返ることなく、その場を去っていった。
夜の絶情谷に私一人を残して。
無言で対談
つい油断をして足を滑らせ、片側に転んでしまう。
君子:みんな、気をつけて!
目の前に現れたのは、緊張した顔つきの君ちゃんだった。
君子:バカはほんとに救いようがないね、普通に歩いていて転ぶなんて…
無剣:あれ?君ちゃん、先に戻ったんじゃなかったの?
君子:この先は絶情谷だから、独りで帰ったりしたら、お姉ちゃんに怒られると思ってさ。
そうだよね、僕のお姉ちゃんなんだよね… 心の中でため息をつく。
無剣:絶情谷ってどんな所?
君子:名前の通り情花がいっぱい生えてる山あいだよ。
よそ者が足を踏み入れたら、案内がないと絶対に出られない。
無剣:情花?
君子:この谷のあちこちに咲いている棘のある花木のこと。
ほら、情花の匂いがここまで香っている。
深く息を吸うと確かに空気の中に、
僅かながら淡い香りが漂っている。
君子:時間はもう遅い、花が見たいなら、明日案内してあげるよ。
ちょうど満開の時季だから、とても美しいよ…ちょっと待って。
君ちゃんは急に足を止め、躊躇しながらも私に手を差し出す。
無剣:どうしたの?
君子:この先が情花谷だ。
夜になってしまうと、僕が案内しても危ない… さあ一緒に行こう。
自分の手を君ちゃんの手に重ねようとする。でも、スッと彼に逃げられた。
君子:そうじゃなくて…僕の袖をつかんで…
無剣:…ご、ごめん、誤解してしまったようね。
君子:しっかりついてきて…情花に刺されないように。解毒剤はもっていないからね。
君ちゃんの横にくっつき、彼の袖をしっかりつかんだ。そうやって、
二人は肩を並べて夜の道を進む。情花の香りが漂っている。
無剣:こんなにもいい匂いだから、その様子も呼び名のようにさぞかし綺麗なのだろう。
懸命に話題を探すが、この先の道が長すぎるのか、それとも短いのか、どんなに考えても分からない。
君子:情花は綺麗か?それは人それぞれの見方による。実際に見たら分かるよ。
静寂が再び二人の間に訪れる。黙ったまま頭を下げ、二人は先を急ぐように歩く。
どんなに遠い道もいつか終わりがやってくる。ましてやこの道は言うまでもなく長くなかった。
君子:先に戻っといてよ。
そう言って、君ちゃんはどこかに行こうとする。
無剣:中には入らないの?
君子:うん…お姉ちゃんに僕のこんな様子は見せたくない。
無剣:…明日、一緒に情花を見に行ってくれない?
君ちゃんは一瞬ポカンとしていたが、すぐに頷いて答えてくれた。
君子:もちろん、明日の朝、ここで待ってるよ。
無剣:よかった!約束だよ!ここで会いましょう。
情花の奥
君子:あの花がそんなに見たいの?
無剣:うん、谷の外では見られない花だからね。
――情花を見たいというより、目の前にいるこの人にできるだけ早く会いたかった…というのが本音。
君子:この情花は古い種と言われている。この外ではすべて絶滅してしまった。谷にも残りは少ないはず…
無剣:ますます見てみたいという気になる。
君子:それなら、僕がいいって言うまで、目を瞑っていて。いいと言ったら目を開けて。
私は目を閉じ、昨日と同じように彼の袖をつかむ。
話をしながら、ふたりでゆっくりと歩く。花の香りがだんだん強くなってくる。
無剣:そろそろかな?
君子:まだだよ!もうちょっと、よし、ここだな… 目を開けてもいいよ!
無剣:わあ!綺麗!
満開の花で彩られた木々。まるで最高級の錦織物のように全てが光り輝いている。
無剣:ほんとうに綺麗…!
そう呟きながら、今を咲き誇る一輪の花に手を伸ばした。
君子:棘に気をつけて!
君ちゃんはそう叫びながら、私の代わりにその花を摘んでくれた。
無剣:ただ触ってみたかっただけ…
君子:でも、もう僕が摘んだから、無駄には使わない。
君ちゃんは花びらを一枚ちぎり、私の唇へと差し出した。
昨日彼が危険だと言っていたことを思い出し、いきおいよく私は首を振った。
君ちゃんは何も言わずその花びらを自分の口に入れた。
君子:毒があることを心配している?大丈夫、毒は確かにあるけれど、花の密はとても甘くて美味しい。食べても害はないよ。
彼の真摯な言葉を聞くと、抵抗感が少しずつ消えていく。
無剣:私にも一枚ちょうだい。試してみたい。
彼はもうひとつ花を摘むと、その花びらを私の掌に置く。
君ちゃんを真似して、花びらを口に入れる。
入れた瞬間は甘かったが、少しすると酒の風味に。
思わず噛んだ後、苦い味が口に広がった。
吐き出すことも飲みこむこともできない私を見て、君ちゃんは楽しそうに笑った。
君子:どう?うまい?
無剣:悪くない!
私は歯を食いしばって二、三度噛み、ごくりと花びらを飲み込んだ。
君子:そんなに好き? だったら僕の分もあげようか?
彼は微笑みながら、花びらをもうひとつ摘み、私の唇まで運んできた。
君子:遠慮しないで。こんなにたくさんあるから、好きなだけ食べていいよ。
延々と広がる情花の林を眺めていると、可愛いという気持ちも無くなる。
手を取り進む
君子:もういらないのかい?
食べてみて分かったが、花それぞれに違う味があった。
密のように甘いものもあれば、甘さの中に苦味が出るものもあった。
君子:自分で試してみないとわからないこともあるよね。
無剣:うん!
君子:…たぶん僕も、同じなんだ。
無剣:どういう意味…?
君子:逃げたりさけたりばかりじゃなく…一度は戦わなくちゃいけないんだ。君は、そんな僕と一緒にいてくれる?
無剣:ええ、もちろん、一緒にいるよ。
君ちゃんと2人して芝生に座り、ただ絶情谷の美しい景色を見つめる。
鶴が空を飛んでいく…白鹿、リス、ウサギたちは、みんな情花を避けて動く。
無剣:見て、とても可愛い。
君子:そうだね…でも、世間と隔絶したこの絶情谷に暮らす生き物は、
井の中の蛙のままで一生を終える。
君ちゃんのその言葉を聞いて、私は振り向き、彼の目をじっと見た。
無剣:君ちゃん、ここを出て、私たちと一緒に外の空を見たくない?
君子:外の空は…絶情谷とどう違うの?
無剣:同じかも知れない、でも自分で見てみないと、分からないじゃない?
彼は向こうを向き、私を見ない。
日が暮れてきた。そろそろ絶情谷を離れなければならない。その時、君ちゃんが小さい声で言った。
君子:はい…一緒に外に出てみたい。
君子:…お姉ちゃんがずっと僕に見せたいと言っていた世界を、この目で見に行くよ。
彼が差し出した手に私は自分の手を重ねる。今度は彼も避けなかった。
同盟会話
○○の君子:お姉ちゃんが励ましてくれたおかげで、やっと一人で絶情谷から旅立つことができる。
○○の君子:絶情谷より外の世界のほうがずっと広大だが、やはり絶情谷のほうが好きだ。
○○の君子:もういい、どうせ暇だから帰ってみようかな。
○○の君子:孤剣と曦月といい、暉刃と影刃といい、絶情谷ではいろんなことがあったな。
○○の君子:彼らとの付き合いは結構楽しかったけど、時々訪問してくる青蓮のやつは随分しつこかったな。
○○の君子:あいつはお姉ちゃんが醸造している情花酒がいたくお気に入りだから、来るたびに酔っ払ってたな。
○○の君子:最近、武功も上達してきたから、お姉ちゃんともなんとなく連携できるようになっているかな。
○○の君子:心配をさせないように、もっと頑張らないとな。
○○の君子:この剣術の威力、どう思う?
判詞
二句目 手を繋ぎて双方疑い無し
三句目 囲碁し合いて日が暮れ
四句目 眠りの音が雨音を奏でる
五句目 宵の光が連璧を追い
六句目 花のうてなが池に落ちる
七句目 貴重な書物に目を通して古の意を感じ
八句目 名詩をただ詠み合う
コメント(1)
コメント
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・お姉ちゃんが励ましてくれたおかげで、やっと一人で絶情谷から旅立つことができる。
絶情谷より外の世界のほうがずっと広大だが、やはり絶情谷のほうが好きだ。
もういい、どうせ暇だから帰ってみようかな。
・孤剣と曦月といい、輝刃と影刃といい、絶情谷ではいろんなことがあったな。
彼らとの付き合いは結構楽しかったけど、時々訪問してくる青漣のやつは随分しつこかったな。
あいつはお姉ちゃんが醸造している情花酒がいたくお気に入りだから、来るたびに酔っぱらってたな。0
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